防災グッズを買ったのはいいけれど、結局どこに置くのが正しいんだろう?


防災グッズをどれだけ揃えていても、非常時に「すぐに使えない場所」にあれば意味が薄れてしまいます。

火災・地震・水害などは突然起こり、状況によっては数秒の判断が生死を左右します。

どの防災グッズを“どこに置くか”は、企業の防災対策と同じように、日常の動線や環境を前提に考える必要があります。

この記事では、防災歴40年のプロであるクマさんの自宅を例に、暮らしの動線に合わせた防災グッズの置き場所の考え方を整理します。

・消防団歴30年、防災歴40年以上のプロ
・大手百貨店や大手ビル管理会社等の災害対策指導員を歴任
・小岩で飲んで50年

防災グッズの置き場所はなぜ重要か

防災というと「何を買うか」「どれくらい備蓄するか」に目が行きがちですが、実は「どこに置くか」が同じくらい大切です。

同じ防災グッズでも、置き場所しだいで“助かる確率”が変わってしまいます。

「生き残るための準備」を最優先に

防災グッズの配置を考えるときは、まず「生き残るための準備」を優先する考え方があります。

水や食料の備蓄も大切ですが、その前に、火や煙から逃げる・ケガを減らすといった“命を守る道具”をどこに置くかを決めておくことが大事です。


3階建てのクマさんの自宅では、いちばん上の階に

  • ・ベランダから降りるための非常用はしご
  • ・割れたガラスやがれきから足を守るための靴
  • ・手を守るための手袋

などが、ひとかたまりのセットとして置かれていました。

寝ているときに火災が起きても、布団から出てすぐに使える位置です。

また、煙やガスから体を守るための防煙マスクも同じフロアに用意されており、その階から避難するときに必要な物がそろっています。

「どの階で寝ているか」「夜中にどこにいることが多いか」といった生活パターンと合わせて、生き残るために必要な物を近くに置いておく、という考え方です。

命を守るグッズを最優先で買って備えてください。

自宅の動線と配置を合わせて考える

防災グッズの置き場所は、「家族がよく通るルート(動線)」とセットで考えると決めやすくなります。

  • ・1階:玄関近くに消火器、トイレ用品、水のストック
  • ・2階:食料品やレトルトご飯、ガスボンベ、日常使いのローリングストック
  • ・3階:非常用はしご、防煙フード、救命胴衣など「逃げるための道具」

このように、「日中長くいるフロア」「寝るフロア」「玄関のあるフロア」ごとに、起こりそうな場面と必要な物をセットで考えて配置されています。

家事や育児で動き回る場所に近いところに、すぐ使える防災グッズがあると安心です。

フロアごとの役割を決めると、置き場所が見えてきますよ。

手が届く・すぐ取れる場所に置く

防災グッズは、「しまい込まない」ことが基本です。

押し入れの奥や、脚立がないと届かない棚の上などに置いてしまうと、慌てているときに取り出せません。

  • ・消火器は玄関や階段横など、家族が必ず通る位置
  • ・簡易トイレやトイレットペーパーは箱のまま積み、すぐに取り出せるように
  • ・ペットボトルの水は、ケースで床に置き、上から少しずつ使っていく

見た目をすっきりさせることも大事ですが、「何秒で手が届くか」という視点で置き場所を見直すと、防災グッズの“使える度”が変わります。

“取り出せるか”までセットで考えてください。

火災に備える置き場所のポイント

家庭で起きる火災は、キッチンだけでなく、コンセント周りや暖房器具など、家じゅうに原因が散らばっています。そのため、「家のどの場所からでもすぐに使える消火器」があると安心です。


各階に1本ずつ消火器を置く

クマさんの自宅では、1階・2階・3階のそれぞれに消火器が1本ずつ置かれていました。

大きな業務用サイズではなく、家庭向けの小型タイプです。

ポイントは次の通りです。

  • ・各階に最低1本
  • ・玄関や階段近くなど「逃げながらでも手が伸ばせる位置」
  • ・壁の中に埋め込む収納を使い、生活の邪魔になりにくくする工夫

1階の物置にだけ置いておくと、2階・3階で火が出たときには間に合わない可能性があります。

「各フロアにある」「動線上にある」というだけで、火災への備えは大きく変わります。

消火器は“各階1本”。防災のプロとして推奨します。


しまい込まず見える場所に置く

消火器は赤くて目立つため、インテリアの邪魔に感じることもあります。

ただ、見えない位置に置いてしまうと、「どこにあったっけ?」と探しているあいだに時間が過ぎてしまいます。

クマさんの自宅では、

  • ・玄関の脇
  • ・階段の途中に作られた収納
  • ・部屋の出入り口付近

など、「普段から目に入る場所」にさりげなく置かれていました。

壁収納タイプを使えば、見た目をすっきりさせながら、すぐ取り出せる「防災グッズの置き場」をつくることもできます。

見た目重視で隠すのは、命を削っているのと同じですよ。

消火器の期限と状態を定期確認

消火器には使用期限があり、年数が経つと中の薬剤が固まり、うまく出ないことがあります。

家庭では「一度買ったら安心」と思いがちですが、ラベルを見て期限を確認しておくと安心です。

  • ・ラベルの「使用期限」をチェック
  • ・ときどき上下に軽く振って、中が固まっていないか確認
  • ・直射日光や雨が当たらない、家の中の涼しい場所に置く

キッチンの調味料や冷蔵庫の中身を点検するついでに、年に一度だけでも消火器を見直す習慣をつけておくと、いざというとき頼りになります。

ラベルを見るだけでも、立派な防災行動です。

水・食料・生活用品の備蓄と置き方

水や食料、トイレ用品などの備蓄は、「どこに」「どのくらい」「どうやって回すか」がポイントになります。

特別な非常食だけに頼らず、普段の買い物に少しずつ防災を組み込む方法もあります。

水は1か所にまとめず分散

水のペットボトルは、24本入りのケースを数箱用意し、1階と2階などに分けて置かれていました。

理由は、どこか1か所が家具の転倒や浸水で近づけなくなった場合でも、別のフロアの水が使えるようにするためです。

  • 2Lボトル:料理や家族分の飲み水用
  • 500mlボトル:避難時に持ち出す用

というように、サイズを分けて備えておくと、持ち運びやすさの面でも安心です。

「家族の人数×数日分」を目安にしつつ、置き場を分散させるとリスクが減らせます。

2Lと500ml、両方あると本当に便利ですよ。

トイレ用品は多めに準備

災害時、「水より先に困る」のがトイレだと言われています。

クマさんの自宅では、簡易トイレが100枚ほど用意されており、家族だけでなく近所にも分けられるくらいの量が確保されていました。

断水して通常のトイレが流せなくなると、衛生面やニオイの問題も含めて、生活のしづらさが一気に増します。

トイレ用品は、多少多いくらいでちょうど良いと考えた方が安心です。

おすすめ防災トイレグッズ・選び方はこちらからご確認ください。

正直、トイレの備えはほとんどの家で足りていません。

ガスボンベと簡易調理器具を確保

停電すると、IHコンロや電子レンジが使えなくなります。

そんな時に頼りになるのが、カセットコンロとガスボンベです。

  • ガスボンベは3本セット×4パック=12本を目安に
  • ・普段使いとは別に、「非常用コンロ」を予備として保管
  • ・レトルトご飯やレトルトカレー、インスタント味噌汁などをローリングストック

「防災用の特別な食料」ばかりを増やすのではなく、普段の食事でも使えるものを少し多めに買うことをおすすめします。

使った分を買い足すサイクルなら、管理もしやすく家計にも優しい方法です。

“いつものご飯+少し多め”が一番続きます。

上の階から逃げるための準備

2階建て・3階建ての住宅では、「上の階からどう逃げるか」という視点も、防災グッズの置き場所を考えるうえで重要になります。

3階に非常用はしごを常備

3階には、ベランダに引っかけて使うタイプの非常用はしごが保管されていました。

ステップが一段ずつしっかり固定される構造で、足を乗せたときにグラつきにくいタイプです。

階段が煙や火で使えなくなった場合でも、ベランダ側から直接地上へ降りられる“もうひとつの逃げ道”があると、安心感が大きく変わります。

2階以上に住んでいる人、非常用はしごは“あった方がいい”ではなく“必要”です。

ステップ固定型を基準に選ぶ
非常用はしごを選ぶときは、価格だけで選ばず、次のような点を基準にすると安心です。

  • ・ベランダや窓に引っかける部分の強度
  • ステップが固定されていて、踏んだときにふにゃふにゃしないか
  • 安全基準や規格が明記されているか

実際に人が乗って使う物なので、安さだけで選ぶと、非常時にかえって危険になる場合もあります。

「家族の体重をしっかり支えられるか」という目線で、仕様を確認しておくことが大切です。

ステップがグラグラするはしごは、使う前から“アウト”です。

靴と手袋をセットで枕元に置く

夜中の災害では、床にガラス片が散らばっていることがあります。

枕元に靴と手袋をセットで置いておけば、すぐに安全に動けます。

靴は“さっと履ける履き慣れたもの”が安心です。

裸足でガラスの上を歩くなんて、現実的じゃないですよ。
履かなくなった靴で良いので、準備しておきましょう。

まとめ:防災グッズは置き場所で効果が決まる

防災グッズは、“持っているかどうか”より“どこに置いているか”で役立ち方が変わります。

  • ・生き残るための道具を優先して配置
  • ・フロアごとに役割を分ける
  • ・見える場所・手の届く場所に置く
  • ・水・トイレ用品は分散
  • ・上の階からの逃げ道も準備

少し場所を動かすだけでも、家庭の防災力はぐっと上がります。

今日できる範囲で“置き場所の見直し”から始めてみてください。

本記事を紹介している、株式会社レスキュープラスでは火災や初期消火に必要な防煙マスク企業の防災コンサルティング・BCP対策を行っております。
現場で使える正しい知識・訓練をモットーとしており大手企業や大手ビル管理会社等での実績も豊富です。お気軽にご相談ください。

また「防災業界のインチキを正す!」をテーマにYouTubeチャンネルの運営をしてます。
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